1. HOME
  2. ミラコアの輪
  3. 植物性食品の「もの足りない」に迫る!農研機構さまとの共同研究

植物性食品の「もの足りない」に迫る!農研機構さまとの共同研究

2024.04.12

アカデミア

植物性食品の「もの足りない」に迫る!農研機構さまとの共同研究

 植物性食品が動物性食品に比べて「もの足りない」と言われるのはなぜなのだろう?「おいしさ」という点では、何が違うのだろう?  不二製油株式会社と不二製油グループ本社株式会社は、そんな疑問からスタートした研究を農研機構さまと共同で行っています。  2021年にスタートしたこちらの共同研究では、2023年9月に研究成果に関するプレスリリースを発表しました。

▼プレスリリース

 (研究成果) 植物性食品のおいしさ向上への官能評価の活用


どんな研究?

 動物性と植物性食品のおいしさの違いを明らかにすることを目的としたこちらの研究。

 発表したプレスリリースでは、動物性・植物性とんこつ(風)スープの両方に適用できる「おいしさ」や「動物っぽさ」の評価基準(ものさし)を開発したことが報告されています。

 <ものさし>は官能評価という、人間の感覚器官を使ってものの性質を評価する研究方法にもとづき開発されました。一般的な食品の官能評価では、実際に対象食品のにおいをかいだり、食べたりしたときに感じる香りや味、食感(テクスチャー)などを測定します。

(図)食品の官能評価の流れ(農研機構さま提供)

 今回の研究では、官能評価を活用することで、とんこつ(風)スープの「おいしさ」「動物っぽさ」に関連する要因を具体的に表すことができました。

 研究は、大きく4つの試験で構成されています。試験の内容や結果についてはプレスリリースに詳しく記載されているので、ぜひご覧ください。

研究に寄せる期待

 動物性・植物性食品の両方を測ることができる<ものさし>は、植物性で「動物っぽさ」や動物性食品のような「おいしさ」を実現するための指針となることが期待できます。

 今回の研究ではとんこつスープを対象としましたが、今後、他の食品にも応用できるようになれば、様々な食品での「おいしさ」や「動物っぽさ」の向上に役立てられるでしょう。さらには、代替食品の位置づけにとどまらない新たな植物性食品が生まれるかもしれません。

【MIRACOREの視点で…】  一連の試験の中で行ったインタビュー調査では、動物性・植物性とんこつ(風)スープのおいしさやもの足りなさと関連するキーワードとして、「濃さ」「複雑さ」「動物っぽさ」が挙げられていました。  これらは、とんこつ(風)スープの物足りなさを克服する、つまり「満足感」を感じるための要素ともいえるのではないでしょうか?  また、いずれのキーワードも、五味で単純に説明できない味わいを表現しているのが興味深いですね。満足感は、様々な要素が絡み合った複雑な風味感覚なのかもしれません。